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宮島の鹿について観光客からよく受ける質問を大紹介!

COLUMN

2025.06.11 up

(宮島の子鹿)

 

 

観光地・宮島に生息する野生の鹿。

 

観光客に愛される宮島のシンボルの一つです。

 

博多屋では、宮島を訪れた人から鹿についてさまざまな質問を受けます。

 

今回は、その中から尋ねられることの多い質問を紹介。

 

鹿の現状を調査活動している人に答えていただきながら、お話を伺いました。

 

 

<宮島の鹿は何頭いますか?>

 

宮島には現在、市街地の北東部に現在約600頭の鹿が生息していると考えられています。

 

島の面積に対し鹿の数がとても多く、調査によって1㎢あたり100頭が密集する場所があることも分かったそうです。

 

観光客がフェリー乗り場の桟橋を出てすぐに数頭を目にすることができるほど、人のすぐ近くに存在しています。

 

(観光名所の紅葉谷公園で休息する鹿たち)

 

 

臆せずのんびりと過ごす鹿の姿はかわいいのですが、安易に近づいてはいけない理由があります。

 

その理由を知ることが安全な観光と楽しい思い出につながりますので、ぜひ続きをお読みください。

 

 

<鹿は宮島のどのエリアにいますか?>

 

宮島の鹿は島の北東部に多く、市街地区域とその背後の山林で生活しています。

 

そのうち200頭くらいが、市街地の中心部(フェリー乗り場の宮島桟橋から大元公園までと背後の山林)に生息しています。

 

宮島桟橋前の広場や嚴島神社へ向かう海岸通りにいて、昼頃には人通りの多い表参道商店街にも出てくるなど、市街地にいる鹿は餌をもらえそうな場所に現れます。

 

また、嚴島神社出口側にある御手洗川の川縁、秋の紅葉が美しい紅葉谷公園、宮島水族館近くの大元公園では数頭から30頭くらいで群れていて、時期によって母鹿について回るかわいい子鹿もいます。

 

(観光客が少ない大元公園では、20~30頭で群れている鹿を見られることも)

 

 

<宮島の鹿の特徴。野生動物ならではの生き抜く力>

 

宮島の鹿の正式名称は「ニホンジカ」で、オスはメスに比べ体格が大きく、角が生えます。

 

【本土の鹿に比べてなぜ体が小さいの?】

 

(角が生えたオス鹿)

 

 

宮島の鹿は本土にいる鹿に比べて体格が小さく、成長スピードに遅れが見られます。

 

それは、鹿が高密度で生息する宮島で自ら体を小さくして採食する量を減らすことで、限りある草木の量に順応し生きていこうとしているのです。

 

小さいのは栄養不足ではなく、環境に適応しようとする野生のニホンジカならではの“生き抜く力“が備わっているためだと考えられています。

 

「体が小さいからかわいそう」「餌が足りず痩せている」と感じるお客様も多いのですが、調査によると宮島の成熟したメスの繁殖率は8割以上で、毎年多くのメスが妊娠し子鹿を産んでいることが明らかになりました。

 

体格が小柄でも、健康に成長していることが分かります。

 

 

【出産時期はいつ頃?】

 

(母鹿が子鹿に寄り添う姿が愛らしい)

 

 

宮島のメス鹿はだいたい3~4歳で初めて出産し、コンディションの良くない年を除いて毎年ほとんどが5月から7月くらいまでに1頭ずつ産みます。

 

調査では、毎年60~100頭の新しい子鹿を確認できているそう。

 

野生動物の多くが1歳になるまでに命を落としてしまうことを考えると、もっと多くの子鹿が誕生しています。

 

 

【何歳まで生きる?】

 

(調査によって、2025年現在19歳と確認されている高齢の鹿)

 

 

調査によって、宮島の鹿はオスが15歳ぐらい、メスが20歳ぐらいまで生きるだろうことが分かりました。

 

メスがオスより長生きのため、島内にはメスの方が多く生息しています。

 

また、成長しても年齢にかかわらず毎年全体の10~20%が死ぬことも分かったそうです。

 

これは厳しい生存競争の中で生活する野生動物の特徴と言われ、宮島の鹿の死亡率が高いわけではありません。

 

宮島では約600頭の鹿のうち毎年約100頭が死亡し、約100頭が誕生しているのです。

 

 

<「鹿への餌やりを止めよう」と言われるのはなぜですか?>

 

宮島では、鹿への餌やりを止めるよう呼びかけられています。

 

鹿が人の食べ物の味を覚えてしまうと、餌を求めて簡単に人に寄ってきます。

 

距離が近くなると人身被害のリスクが高まり、実際に住民から「角で突かれた」「蹴られた」「噛みつかれた」という声も耳にします。

 

さらには、人慣れした鹿が車を恐れなくなることで交通事故につながる危険性が危惧され、島内では事故に遭ったと思われる、脚をけがした鹿が見つかることがあります。

 

奈良公園の鹿の死亡要因の上位にも交通事故が挙げられ、市街地に生息している限り避けられない問題です。

 

(人慣れした鹿は道路上で近づいた車も怖がらない)

 

 

人の食べ物に慣れた鹿は、食べ物とゴミの区別ができず、美味しそうな匂いに釣られて何でも口に入れてしまいます。

 

調査で死亡した鹿を解剖したところ、胃の中にビニールゴミなどの不消化物の塊が残っていて、中にはそれらが胃の半分以上を占めることがあったそうです。

 

餌を与えることは一見善意な行動に感じますが、野生の鹿の習性を変え健康被害を与えて、最悪の場合、命を奪ってしまうことになるかもしれません。

 

 

◆鹿を守るため、餌を与えないで

◆鹿を守るため、ゴミは必ずゴミ箱へ

 

(ゴミを食べる鹿)

 

 

鹿の数が多くなると、鹿が食べやすい低い木や下草がなくなり、森の土壌流出につながります。

 

宮島は地質のほとんどが花崗岩という風化しやすい岩石で、斜面が崩れやすいのが特徴。

 

市街地周辺は元々「急傾斜地崩壊危険区域」や「土石流危険渓流」です。

 

低い木や下草がなくなることで、土砂災害の危険性も高まるのです。

 

人の善意は一歩間違うと、自然のバランスを崩し人自身に被害を及ぼす可能性があることを、ぜひ知っていただきたいのです。

 

(観光客のバッグの中の食べ物が気になり近づく鹿)

 

 

<なぜ鹿に触らないように言われるの?>

 

宮島の鹿は人の近くにいるとしても決してペットではなく、本物の野生動物。

 

普段はおとなしい性格でも突発的な行動を取る可能性があり、特に角のあるオスや子連れのメスには注意が必要です。

 

(町中で休息する鹿)

 

 

また、鹿にはマダニやシラミバエなどが寄生しています。

 

現時点では、宮島でそれらが媒介した感染症は確認されていませんが、さまざまな地域でマダニによる感染症は毎年報告されているため、鹿に安易に触ることは控えたほうがいいでしょう。

 

とはいえ、観光地で目にする鹿はかわいくて愛らしいもの。

 

その姿を、宮島に来た記念としてカメラに収めようとする人もたくさんいらっしゃいます。

 

撮影する際は鹿を驚かせないよう適度な距離を保って、思い出の一枚を残してくださいね。

 

 

<鹿と適度な距離を保って観光を楽しみましょう>

 

宮島にとって、世界文化遺産も鹿もかけがえのない存在。

 

豊かな自然のもと鹿が野生動物として健全に暮らし、それを未来へつなげていくことが大切です。

 

宮島では鹿に安易に近づかない、食べ物を与えない、ゴミを放置しないというルールを意識し、適度な距離を保って観光を楽しみましょう。

 

 

博多屋では、宮島の鹿について読者の皆さんからの質問を受け付けます。インスタグラムのDMからお送りください。

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