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宮島で親しまれてきた桜の名所8選!満開の桜と世界遺産のコラボレーション!
COLUMN
2025.03.06 up
【2025年宮島桜開花予想(ウエザーニュースより抜粋)】
◯開花予想日 3月30日
◯五分咲き 4月3日
◯満開 4月5日
◯桜吹雪 4月14日
紅葉が美しいと定評の宮島ですが、実は桜の名所でもあります。
広島県内で人気が高いお花見スポットの一つで、島内の桜の木は約1900本あると言われています。
それら桜の木や、秋に色づくもみじの木は、江戸時代、外来種として持ち込まれ、宮島の名所となるよう植えられました。
江戸から明治時代に描かれた厳島案内図(下記写真)は、桜の美しさを意識して色を塗り、大元神社、紅葉谷などが観光名所として紹介されていました。

(江戸時代の嚴島社頭之図。桜を表すように嚴島神社の周囲にピンク色が描かれている)

(明治28年の嚴島寶地真景之図。上部に描かれているのは大元神社の桜や紅葉谷の紅葉が名所として紹介されている)
神社やお寺を訪れつつお花見を楽しめる、「世界遺産×歴史×桜」のコラボレーションが見られる宮島。
誰もが鑑賞する有名スポットから島内に住んでいるからこそ知っている隠れ名所まで、春の宮島の巡り方をご紹介します。
“通“の楽しみ方!もみじ饅頭片手に桜鑑賞
宮島が発祥地とされるもみじ饅頭は、最も人気の高いお土産品です。
博多屋では焼きたてのもみじ饅頭を1個から販売しています。

(持ち歩きやすく、食べやすいサイズの博多屋のもみじ饅頭)
宮島にお花見に訪れたら、まずは博多屋でおいしいもみじ饅頭とお好みのドリンクを購入してください。
それを持って名所へ行きベンチに腰掛けたら、宮島スタイルのお花見がスタート!
満開の桜の中で味わうもみじ饅頭は格別で、季節を感じる贅沢なひとときになります。
もみじ饅頭だけでなく、揚げたてのがんすとビールの組み合わせもおすすめですよ。
博多屋の場所はこちら
宮島の桜の名所
博多屋を出発点に、巡りやすいルートで桜の名所をご紹介します。
宮島の桜前線は、島の西側(大元公園など)から東側(包ヶ浦公園など)へ移動。
行く先々で開花状態が変化する景色も楽しめます。

(「宮島の案内絵図」を参考に紹介します。博多屋の場所は「星マーク」の位置。「宮島の案内絵図」は宮島桟橋にある観光案内所のほか、島内の一部のお土産、ホテルなどから無料で配布しているもの)
[ ① 幸神社 ]

(町中に佇む幸神社)

(博多屋から徒歩2分)
“幸せ“の文字が入った「幸(さいわい)神社」。
細い脇道を入ったところに佇む小さな神社で、創建年代などは不詳ながら嚴島神社の境外末社です。
また、宮島の中世の参道と近世の参道が結節する場所でもあります。神社の石の玉垣には博多屋の先祖の名前も刻まれています。

(小さな神社なので通り過ぎてしまうことのないよう気をつけてくださいね)
桜ともみじの木が1本ずつあり、季節ごとの“色“を楽しむことができる、知る人ぞ知る島民の桜スポットです。
観光客の通りが比較的少ない通りにあるため静かで、ゆっくりと鑑賞できます。
[ ② 誓真大徳碑 ]

(「誓真大徳碑」のある広場は小高い丘にある)
幸神社のそばにある階段を上り、老舗あなごめし「和田」の前の小道を沿い、五重塔を右手に、小道を登り、「光明院」を通って進むと、「誓真大徳碑(せいしんだいとくひ)」が見えてきます。

(幸神社から徒歩1分)
「誓真大徳碑(せいしんだいとくひ)」は小高い丘にあり、宮島の中でも眺望の良さで知られています。
碑の周囲の広場には桜の木がたくさん植えられていて、名所として有名です。
桜の愛らしいピンク色、穏やかな大野瀬戸の青色、対岸の山々の緑色が映し出す春らしいコントラストに心が癒されます。
「芸州厳島図会」には、昔の人々がこの辺りにあった「鳥居松(2本の松を縄でつないだもの)」のそばで、お花見を楽しむ様子が描かれています。

(芸州厳島図会より)
春らしい陽気に誘われて仲間が集い楽しく過ごす時間は、昔も今も変わることなく人々の生活に溶け込んでいますね。
日中の桜の景色だけでなく、夕陽が差し込む時間帯も美しい場所。
観光客も少なめの穴場スポットです。

(誓真大徳碑からの夕焼け(左側に写る五重塔は2025年現在は工事中))
また、ここで「誓真大徳碑」について紹介します。
誓真大徳は江戸時代のお坊さんです。
宮島のお土産品として有名な「杓子」を考案し、その製法技術を島民に伝えたほか、島民が生活しやすいように井戸を掘ったり道を整えたりして、宮島の発展に大きく貢献しました。
今でも「宮島の恩人」と称えられ、人々から「誓真さん」と親しまれています。
明治時代、杓子問屋を営んできた博多屋にとっても非常に大事な存在です。
電気もガスもなかった時代、さまざまな事業を進めるのは時間も労力もかかり大変なことだっただろうと想像できます。
それでも成し遂げてくれた人たちがいたから、今日の宮島があります。
誓真大徳碑の前でもみじ饅頭を味わいながら、ぜひ宮島の歴史に思いを馳せてみてくださいね。
※五重塔について、2025年1月から2026年12月(予定)まで修復工事をされている最中です。今年は修理ネットが被っている五重塔の姿になってしまいますが、今しか味わえない大事な風景でもあります。
[ ③ 嚴島神社御文庫 ]

(嚴島神社御文庫)
誓真大徳碑から五重塔を目指し、五重塔隣りの千畳閣の側面、嚴島神社側の階段を降ります。
嚴島神社の入り口を過ぎたあたりから大願寺方面へ進むと、道沿いにきれいな桜の木が何本もあり、少し歩くと、左手に土蔵造りの白い建物「嚴島神社御文庫(おぶんこ)」が見えてきます。

(誓真大徳碑から徒歩5分)
嚴島神社御文庫は大切な書物が納められている場所で、中に入ることはできません。
江戸時代、宮島島内にある光明院の住僧の発起により建築され、書物と建物を合わせて奉納されたといいます。
今から200年以上前に建てられたとは思えないほど白くてきれいな外観に、枝垂れ桜のピンク色が映える名スポットです。
[ ④ 御手洗川周辺 ]

(御手洗川に沿う桜の木々)

(御文庫から徒歩2分)
御文庫前の道を大願寺の方へ進み嚴島神社の裏側を過ぎたあたりに、御手洗川(みたらいがわ)が見えてきます。
川沿いにたくさんの桜の木が植えられており、満開の時期は見応えがあります。
岸辺には鹿がよく訪れるので、花びらを食べようとする姿など“桜と鹿“といった宮島らしい風景を撮影できるチャンスも。
桜の咲くシーズンも、花びらが散って地面が薄ピンク色に染まるシーズンも、それぞれに楽しめます。
ぜひ、スマホやカメラを片手に散策してくださいね。
[番外編①]宮島の自然を大切に守ってきた「宮島さくら・もみじの会」
世界中から来島するお客様に宮島を彩る桜ともみじをよりきれいに見てもらうため、そして美しい自然環境を守るため、2010年に立ち上がったボランティア団体「宮島さくら・もみじの会」。
多くの観光客の目を楽しませる豊かな自然のその裏では、ボランティアによる地道な保全活動が続けられてきました。
宮島は、1952年に島全体が文化財保護法に基づく特別史跡・特別名勝の指定、1996年に世界文化遺産の指定を受けたため厳しい規制がしかれ、樹木の伐採はもちろん、手入れなども許可なく行うことができません。
宮島さくら・もみじの会は、そのような規制の中、数ヶ月もかかるような申請をその都度行い、宮島の環境にあう品種の選別と植樹や施肥、土壌改良、り病枝・枯枝除去、害虫駆除など実行し自然環境を整えてきました。

(多宝塔周辺の桜の定点観測写真)
会長の平野清さん(宮島でお土産販売を営む「平野屋」のご主人)によると、一年目は桜の木の下に撒いた肥料を鹿に食べられたという苦い経験も。
専門家の指導を受けながら試行錯誤し、二年目からは鹿が口にしない化成肥料に切り替え、さらに土の温度を一定に保つ腐葉土を根元に敷き詰めました。
この黒い腐葉土は、周囲の地面の色と異なることが功を奏し、観光客が桜の根元近くの土を踏むことを防いだそうです(根元近くの土が踏まれると土壌が固くなり、養分が根に浸透せず木が弱くなるというリスクにつながります)。
「活動を始めて五年目のとき、ようやく幹が太くなり、枝が上へと成長し始めた」と、子供の成長を振り返るように話された平野さん。その顔は朗らかでした。

(活動二年目、2011年のとき)

(活動13年目、2022年のとき)
2011年と2022年の写真を見比べると、多宝塔が見えなくなるほど桜の木が成長していることが分かります。
私たちが毎年宮島の桜を楽しむことができるのも、「宮島さくら・もみじの会」の努力のおかげです。
「桜の根っこの近くは踏まないようにする」
「枝を無理に引っ張ったり、揺らしたりしない」
宮島の桜をこれから先もずっと慈しむことができるよう、鑑賞する際に意識してみてくださいね。
嚴島神社裏側の御手洗川に沿い、神社の出口付近に、平野さんが営む土産物店「平野屋」があります。
今回の桜見ルートの順路沿いにあるので、時間があればぜひお立ち寄りください。
平野さんに宮島の桜の話をいろいろ聞くことで旅のおもしろさがきっと倍増します。
平野さん、長年の活動、本当にありがとうございます!
[ ⑤多宝塔+桃林 ]

(宮島の多宝塔は桜の名所(2025年現在は屋根葺替工事中))

(御手洗川から徒歩5分)
多宝塔は、宮島の中でも桜の名所として有名で、周辺には宮島さくら・もみじの会の手入れによって大きく成長した桜の木々が多数あります。
春になると桜に囲まれ、まるで多宝塔自身がお花見を楽しんでいるような景観が印象的。
鮮やかな朱色の歴史的建造物と優しいピンク色の自然が調和する、宮島らしい風景を楽しめます。
(※多宝塔は2025年9月(予定)まで工事中のため、現在は足場で覆われています)
多宝塔は室町時代の1523年創建。高さは15.6m、外観は日本独自の様式で建てられた純和様で、国の重要文化財に登録されており中に入ることはできません。
建っている場所は、厳島の戦い(1555年)の際に戦国大名の陶晴賢率いる陶軍が最初に陣を敷いた勝山城の跡地で、周囲を見渡せる小高い丘にあります。
この場所から嚴島神社の社殿や大鳥居、千畳閣、五重塔もカメラのアングルに収まるため、絶好の撮影スポットです。
また、多宝塔から西側へ進むと、林のように桜の木が連なる「桃林(もんばやし)」が
あります。

(多宝塔付近の写真。あまり知られていない穴場のお花見スポット)
満開時に視界一面に広がる桜は、感嘆のため息が漏れるほどの絶景です。
夕方以降はライトアップも行われます。
観光客が減る時間帯なので、島内に宿泊するお客様にはお勧めです。
周辺は傾斜の激しい階段などが多いため足元に気を付けて鑑賞してくださいね。
ライトアップ情報については
こちらをご参照ください。
[ ⑥ 大元公園 ]

(人通りが少なく、静かな大元公園)

(多宝塔から桃林を通って徒歩10分)
川のせせらぎや鳥の鳴き声が聞こえる閑静な大元公園も、宮島の桜の名所の一つです。
公園といっても遊具などなく、ベンチや庭石が置かれた風情ある庭園のようなところで、広い園内には嚴島神社摂社の大元神社があります。
大元公園の桜の風景は、約300年前に光明院の僧侶らにより選定された「厳島八景」の一つに数えられたほど。
「大元桜花(おおもとおうか)」と呼ばれ、当時から桜が美しいと認識されていたことが分かります。

(芸州厳島図会より)
人通りが少ないことから鹿が悠々自適に過ごしており、のんびりとした公園で心が落ち着きます。
食事をしようとすると鹿が寄ってきて難しいかもしれません。
園内をゆっくり散策しながら桜を鑑賞するのがおすすめです。
[ ⑦ 御手洗川周辺(西松原あたり) ]

(嚴島神社西側の海岸・西松原付近の御手洗川周辺に咲く八重桜)

(大元公園から徒歩5分)
嚴島神社西側の海岸・西松原付近の御手洗川周辺に、比較的新しい八重桜があります。
宮島さくら・もみじの会の平野会長によると、宮島町が廿日市市に合併する前、この場所に植えられたであろう八重桜が、会の発足時は枯れたまま残っていたそう。
宮島さくら・もみじの会が働きかけ、数年前に海風に強い桜の品種である八重紅大島桜を植樹しました。
害虫駆除やり病・枯枝除去などの手入れをしつつ生育を見守ってきたことによって、八重紅大島桜は順調に成長しています。
立地の都合上、狭い場所での栽培ため大きな桜になりづらいのですが、きっとこれから先、宮島を訪れた人々に春の恩恵を届けてくれるはずです。
また、大鳥居に非常に近い場所なので、撮影の角度によって、「大鳥居+桜」の貴重な一枚を撮れる絶好の撮影スポットです。
・・・
さて、博多屋を出発して島内の桜スポットをぐるっと巡ってきました。
たくさん歩いたあとは、また博多屋で休息してください。
もみじ饅頭や熱々の揚げたてがんすとともに冷たい飲み物も召し上がり、小腹を満たしてくださいね。

(博多屋店内で注文して、食べられる「揚げ立てもみじ饅頭」、「宮島でがんす」、「もみじの出逢い牡蠣セレクション」、「宮島産牡蠣のオイル漬け」と「クラフトビール」)

(博多屋の海岸通り側のイートインスペース(アマノステラス)はちょっとした休憩にピッタリ)
[ ⑧ 行者堂 ]

(宮島桟橋前、行者堂の麓にも桜の木が並ぶ)

(博多屋から徒歩5分)
帰りのフェリーに乗る前にご覧いただきたいところが、宮島桟橋前にある桜。
桟橋の南正面の高台に行者堂があり、その麓に並んでいます。
目につくのは、どの桜も一定の高さまで枝がない独特の景観。
「ディアライン」という、鹿の食害によってできた植生上の線です。
鹿と共存する宮島ならではの桜の風景をお楽しみください。
ディアラインについてはこちらの記事でも紹介しています。
[番外編② 藤の棚公園]

(桜の名所の藤の棚公園。隣接する紅葉谷公園は紅葉の名所)

(博多屋から徒歩5分)
紅葉の名所、紅葉谷公園の隣りにある藤の棚公園は、多数の桜の木が植えられていて、満開を迎えると見応えがあります。
園内には茶屋があるので、食事をしながらお花見ができるのも良いところ。
また、夜は期間限定でライトアップがされ、夜桜を楽しめます。
4月下旬には藤の花も咲き誇り、初春から晩春までお花見ができるスポットです。